現行YZF-R1の中身をちょっとだけ

 今日も朝は冷え込みましたねぇ。日中も太陽は顔を出さないようですから、また寒い一日になりそうです。
 現在2輪レースは基本的にシーズンオフと言える時期ですから、エンジンやサスペンションのOHをやっておこうという方が、多数車両を持ち込まれているのですが、その中の1台09YZF-R1の中身をちょっとだけお見せしたいと思います。たぶん一般の方はエンジンの中身、それも現行車のそれを目にすることなどほとんどないでしょうからね。
 現行型YZF-R1は、不等間隔爆発となるクロスプレーンクランクシャフトを採用した、並列4気筒エンジンのヤマハリッタースポーツフラッグシップモデルです。まずはシリンダヘッドを外した写真です。

 一般的なシングルプレーンクランクシャフトであれば、ピストンは1番&4番、2番&3番が同じ位置にありますが、クロスプレーンクランクシャフトのR1では4気筒すべてのピストンが違う位置にあります。クロスプレーンクランクシャフトの技術理論はこちらを参照ください。『ヤマハ発動機公式Websサイト

 こちらの写真はエンジンを上下さかさまにして、ロアケースを外したところです。クランクシャフトの手前に並んでるのがバランサーシャフトですね。不快な振動の元となる慣性偶力を打ち消すための、偶力バランサーといいうものだそうです。バレンティーノ・ロッシが求めたスウィートなエンジン特性を実現するために採用されたクロスプレーンクランクシャフトですが、このようにシングルプレーンにはなかったバランサーシャフトが追加されたり、必要な強度を確保するためにクランクシャフトそのもののサイズを上げており、重量的には従来モデルよりも重くなっています。ですがプロダクションレースのベースモデルになる車両ですので、重量増は最低限に抑えたい。そこで補器類などいろんなところで地道な軽量化が図られています。

 上の写真はマグネットフライホイールですが、左がR1そして右がエイプ用です。外径こそ大差ありませんが、マグネットの厚みが全く違っており、重量はエイプ用の約半分、驚異の689gです。そしてもう一つ。

 こちらの写真はR1のセルモーターです。となりの携帯と比較すると、その大きさが解ってもらえると思います。Z等旧車のセルモーターの半分ぐらいしかないのですが、これでも圧縮比12.7(STD状態)というハイチューンエンジンをいとも簡単に始動することができます。まったく技術の進歩というのはとどまるところを知りませんね。このほかにもオイルパンなどあまり外さないような部位の固定ボルトは、従来のキャップボルトからボタンボルトに変更するなど、本当に地道な軽量化が見てとれます。現行モデルはクロスプレーン型の最初のモデルですから、今後マイナーチェンジを重ねながらより軽くハイパワーで、かつ扱いやすいR1へと進化を遂げて行くんでしょうね。10年後はいったいどうなっているのか、還暦を目前にした私でも乗れるかなぁ...。