オートバイ整備の小技いろいろ

 あぁ今日も暑かった。9月も半ばだというのに日差しがジリジリと肌を焦がすようで、日中はまだまだ真夏と言ってもいいくらいです。関東出身のかみさんが『熊本は春・夏ーーーーーーー・秋・冬ね』と言うのが解るような気がします。
 全日本ロードレースAPラウンドも終了してちょっと落ち着いたので、これからのオートバイシーズンに向けてバイク整備の小技を少しご紹介したいと思います。最近では一般の方でも手の出しやすいリースナブルなハンドツールを扱うショップがあちこちにできて、自分の愛車は自分で整備しようという方も増えてきたように思います。専門知識のいる重整備は大変でしょうが、オイル交換などの日常的メンテナンスならば、自分でやることで愛車に対する愛着も増しより深くマシンを理解できますので、私はどんどんやるべきだと思っています。ただ車と違ってオートバイは搭乗者が生身で跨り操作するため、ちょっとしたトラブルでも大事故になりかねません。ですから最低限守らなければならないことを最初に書いておきます。
 まず整備に際して部品を脱着する場合、仮締めは絶対にしないことが重要です。作業工程上すぐにまた外すところなので、『とりあえず仮締めね』は絶対にやってはいけないことです。人間は複雑な作業や細かい作業もこなす手先の器用さや知能を持っていますが、それ故に難しい作業を同時進行で進めたりと物事を忘れてしまうような状況を自ら作り出しがちです。またすぐに外すからと仮締めにしておいて作業を中断、翌日作業再開なんてこともありますので、面倒でもボルト類は必ず本締めを心がけるよう習慣付けましょう。

 作業工程上どうしても仮締めにしないといけない場合、私は上の写真のようにそのボルトにツールをつけたままにして作業をすすめるようにしています。目立つようにその部分にカラーテープを貼っておくのもいいかもしれません。またオイルや冷却水が入っていない場合にも、タンクの上などにテープを貼り『オイル無し』と書いておくことも忘れません。基本的に私が整備をする場合は、ステンレスのトレーを2つ用意し、ひとつにはツールを、もう一方には外したパーツを入れるようにしています。そうすれば整備が終了した時点でパーツを入れていたトレーは空っぽになるはずですから、部品の付け忘れなどという初歩的なミスが避けられます。

 整備が広範囲におよび沢山の部品を外さなければならない場合は、このようにビニール袋に部位ごとに分け、マジックで場所や注意事項等を書いておくといいでしょう。使い捨てですので、ホームセンターなどで200枚数百円で売っているような安価なもので大丈夫です。

 それから私のツールには、このようにビニールチューブを短く切ったものが沢山用意してあります。これは何に使うかというと。

 外したボルトが何処の部分かわからなくならないように、パーツそのものに差してこのチューブを被せておけば外れずに、パーツとボルトが一緒に保管できるというわけです。これもホームセンターに行けばいろんなサイズのチューブが安く売っていますので、いろんなサイズを切って持っておくと便利です。
 人間は基本的に忘れる動物ですから、絶対にミスをしないようにするのは不可能です。ならばいかにしてミスを少なくし、万が一ミスをしても影響が少なくなるか、私もいろいろと工夫をしています。それでなくても『あれー?何処いったかなぁ?』を連発してお客さんに笑われていますからねぇ。