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 厳しかった寒さもようやく緩み、今週は3月上旬並みの暖かさになるんだとか。このまま春になるとは到底思えませんが、しばらくは縮こまって歩かなくてもよさそうです。
 前回の日記で書いたとおり、冬場のOH作業は順調に進行中。すこーし春の予感もしてきたということで、眠らせていたバイクの車検をとって走りだす準備、という方も増えてきました。気候も良くなってきたことですし、バリバリ作業をこなしたいと思います。今日はそんな作業を支えるこの時期活躍するツール達を紹介してみようと思います。

 まずはみなさんご存知のトルクレンチ。トルクレンジやボルトの種類によっていろんなタイプのトルクレンチを使用します。メインはプレセット型のトルクレンチですが、エンジン内部の精度が必要な個所には一番左のダイヤル型を使用します。

 こちらは最近使用する機会が多いアングルトルクゲージ。ボルトの締め付け角度を正確に測るためのツールです。最新の国産車では、コンロッドボルトの締め付けや、クランクケースのジャーナル部の締め付けなどに、一旦トルクで絞めてその後指定角度までボルトを回す角度法が指定されている機種が増えています。メタルの焼きつき対策で、より高精度のトルク管理をするための方法ですが、もうひとつ重要なのがこちら。

 マイクロメーターとシリンダーボアゲージです。コンロッドの大端部やクランクケースのジャーナル部、クランクピン径、ピストン外径にシリンダーボアなど、エンジンのOHではいろんな場所を測定してそのクリアランスを決めなければなりません。ですから測定するレンジに合わせて大小さまざまなツールを使用します。

 寸法測定でもうひとつよく使うのがこのダイヤルゲージです。バルブシムの厚さを測るに使うのですが、赤いトリガーを押えると、測定部が開いてワンタッチで厚さ測定ができるので、多くのバルブシムを組み替える4気筒エンジンなどでは大変重宝します。

 それからあまり目にする機会がないと思いますが、バルブシートのハンドカッターです。長年の使用で当たり面が広がったりカーボンを噛みこんで傷の入ったシートを、カットして圧縮を確保するためのツールです。ダイヤモンドコーティングされたカッターですが、バルブシートはかなり固いので、地道なそして時間のかかる作業です。地味なツールですが、ここに登場するツールの中で最も高価でもあります。

 最後にエンジンOHの際にエンジンを固定するメンテナンススタンドです。(すみません。肝心のスタンドが見えませんね。)これは都合のいいものがなかったので自作したんですが、エンジンを固定した状態で360度回転できるようになっています。並列4気筒のOH作業では、アッパーケースを上下さかさまにしてクランクやミッションを組みつけるので、回転することが最低条件になります。また前述のコンロッドや、クランクジャーナルの締め付けではかなり大きなトルクで締める必要があるので、しっかりしたスタンドに固定して作業をしなければなりません。それに旧車のエンジン等は現行車と比べるとかなり重たいので、スタンドそのものの重量も必要なんです。以前6気筒のCBXのエンジンを固定した際は、スタンドが壊れないか心配で超ダッシュでエンジンをばらしました。なにせスタンドを作ったのが自分でしたからね。