FZ復活日記その3 現状分析-ブレーキ編

 今日は暑さはそれほどでもありませんでしたが、湿度が高く寒暖計の数字以上に過ごしにくい天気になりました。
 さて今日はしばらくご無沙汰のFZ復活日記その3です。最初に書いたとおり、第1段階はSTDのままで必要最低限のメンテナンスをして車検を通し、まずはその実力を探ろう!というのが私の目論みです。当然ブレーキは2ポットキャリパー+ベンチレーテッドディスクですし、タイヤもFr16インチ+Rr18インチのままでいくつもりです。現在の基準で考えれば、なんとも心もとないブレーキ廻りですし、タイヤもハイグリップと呼べるような銘柄は選択できません。しかし本当にSTDのままでは役不足なのか、実際のところは自分で体験してみなければ決して深くは理解できません。結局後で最新のシステムに交換することになって今回のメンテは無駄になるかもしれませんが、デーククラフトに持ち込まれる多くのFZユーザーの皆さんのためには、『決して無駄になならないだろう』そう言い聞かせて作業続行です。

 今回はまずSTDキャリパーの分解メンテナンスからです。長年の使用でブレーキダストがこびりつき、少々ブレーキフルードも漏れているという悲惨な状況でしたので、まずは分解して洗浄液の中に漬け置きします。このときキャリパーの塗装面やアルミそのものを侵さないよう、洗浄液はあまり強力なものは使用しないようにします。それでも時間をおくことで(もちろんブラシでこすりますが)写真の通りブレーキダストなどはきれいに落とすことができます。ただしこの状態でもシールの溝には、『耳くそ』のような古いブレーキフルードが固まったものがこびりついていますので、キャリパー本体を傷つけないように気をつけながら取り除いてやります。上の写真の、キャリパー内部にこぼれ落ちているベージュの物体がそれです。これをきれいに取り除かないと、キャリパーシールを交換してもフルード漏れの原因になりますので要注意です。

 キャリパーピストンは写真の通り、シールの外に露出している部分は思いっきり錆びていましたが、幸いピストン周動部(キャリパーシールにかかる部分)には錆がありませんでしたので、そのまま再使用することにしました。

 古いブレーキキャリパーのメンテの際見落としがちなのが、エアブリードボルトです。古い車両の場合本来あるはずのゴムキャップがなくなっている場合が多く、そうなるとかなりの確率でエアブリードボルトの穴が錆で塞がっています。それほどひどい錆でない場合は、ステンレスワイヤーなどを通すことで取り除くことができます。写真のようにネジ部にシールテープを巻いておけば、組み立てた後エア抜き作業の際フルードが垂れてくる心配もなくベターです。


 ここまでやって組み立てた状態です。ピストンの組み立ての際には、CCIのメタルラバーMR20を使用します。ピストンの動きが良くなるのはもちろんですが、組み立て後ブレーキフルードに完全に溶けますので、分離したりする心配がありません。これで新品のようとは言いませんが、最初の状態と比べれば雲泥の差と言えると思います。ひとつ書き忘れましたが、ヤマハ車の2ピースキャリパー(ボルトで2つのボディーが締結されているタイプ)はマニュアル上『非分解』ということになっていますので、左右ボディーのフルード通路をシールする小さなゴムシールのパーツ設定がありません。ホンダ車やカワサキ車は設定があるので、流用が効きそうなパーツを探してみましたが今回は見つけることができませんでした。(どなたか知っていたら教えてください)ですので今回は古いものを再使用しましたが、古いブレーキフルードに長い間さらされていたため、キャリパーのシール溝と同じようにフルードの固まったものが付着していました。そのまま使えば間違いなくフルード漏れを起こしそうでしたので、ゴムを侵さないタイプの洗浄剤でしっかりとふき取って再使用しています。細かなパーツですが決しておろそかにできないところですし、これを怠ったばっかりに組み立てた後再分解になったのでは時間も手間ももったいないですからね。